サックスを吹くのが楽しくなる リードの選び方・調整方法

サックス奏者の悩みで5本の指に入るのがおそらくリードについてでしょう。
リードはサックスの中でも一番口元に近い部分=音に一番影響がある部分です。
リードが良く鳴らないと吹き心地も悪く、ストレスになり、モチベーションにも影響が出てしまいます。

にもかかわらず、良いリード、悪いリード(ハズレリード)は目でみて判断しにくく、実際に吹いてみないと分からないので、どのように対策をすればよいかわかりにくいところでもあります。一種のガチャでもありますし、ブランドや種類もかなりの数にのぼり、沼にハマってしまいやすいのも厄介なところです。

そんなこんなで、よりリードに巡り合える完璧な方法は残念ながらないのですが、実はいくつかのポイントに気を付ければ、よいリードの状態で演奏できる確率が大幅に上がります。この記事では筆者のこれまでの経験からたどり着いた一種のセオリーを共有したいと思います。

マウスピースとリードとの相性を知る

フェイシング

マウスピースにはフェイシングという部分があります。一般的にフェイシングが長ければカーブが緩やかでサウンドも温かみがあり、短ければ急なカーブになりサウンドも明るくシャープになるとされています。マウスピースを選定する際に聞いたことがある話かもしれません。

マウスピース各部の名称

演奏するのによい状態とは

リードが振動してサックスの音が出る仕組みをとても分かりやすく解説した動画があります。この動画からわかることは、リードはマウスピースの「フェイシングカーブ」に沿ってしなりながら振動している、ということです。マウスピースとリードとの相性を良くするためには、上述のフェイシングの長短によってリードを選んでいく必要がありそうです。

リードの種類

リードにはバンドレンのJAVA(緑箱)に代表される「アンファイルドカット」、バンドレンの青箱に代表される「ファイルドカット」の大きく2種類があります。「アンファイルドカット」はリードの振動範囲が広く、「ファイルドカット」は主にリードの先が振動します。
つまり、
          アンファイルドカット=全体的にリードがしなる

ファイルドカット=リードの先端が主にしなる

ということが言えると思います。

ハズレリードを格段に減らす マウスピースとリードとの相性

以上から、リードとマウスピースとの相性の合わせ方は、長いフェイシングのマウスピースには振動範囲が広い「アンファイルドカット」、短いフェイシングのマウスピースには主に先端の方が振動する「ファイルドカット」が合うと言われています。まとめると以下の表のようになります。

これを見直すだけで、合うリードが格段に増えてくると思います。

リードの調整について

リードの固さ

これは皆さんご存じかと思いますが、リードには種類とともに「固さ」があり、番号で示されています(メーカーによってはソフト、ハード、という表現をしている)

固いリードを吹くためには息をしっかり入れて吹かねばならず、体力的にしんどくなってきます。もちろん練習や筋力のアップによって固いリードを吹けるようにはなりますが、無理な練習をする過程でいろいろな弊害が出てきます。例えば本来力を入れてはいけない部分に力を入れるクセがついてしまったりします。リードは人間でいう声の部分ですから、自然に発音できる固さが一番よいと考えています。
自身の経験、また数多くのレッスンを行ってきた経験から言いますと「2.5」の固さをお勧めしています。
3になると吹くのが結構きつくなってくることが多く、練習や演奏に支障をきたしてしまいます。

リード調整に必須のツール Reed Geek

リード調整は本格的にやると結構専門的で難しいのですが、今回は私が普段やっているお手軽なリード調整法をご紹介します。
リード調整に使用する道具はこちらの「Reed Geek」です。リードを削るための小さい金属の棒ですが、角がかなり鋭くなっていて、リードをなでるような形で少しずつ削っていくことが可能です。海外の名だたるプロミュージシャンも愛用しているツールです。なかなかいいお値段ではありますが、今後長い時間サックスを吹いていく方であれば、ぜひ持っておきたいツールです。

Reed Geekを使ったとてもシンプルなリード調整法

リードの調整法は突き詰めるとかなり奥が深く、極めるのにかなりの時間が必要となります。そこで、ここでは私が普段行っている、いたってシンプルな調整法をご紹介します。この方法を始めてから10年ほどになりますが、リードの状態にあまり困ることなく、演奏に集中できています。
やり方はとても簡単です。「Reed Geek」の角を使い、リード表面を根元から先端まで撫でるようにこすります。また徐々に横にずらしながら、表面全体を平等にこすっていきます。一つの箇所は1回こすればOKです。これを吹きやすくなるまで繰り返すだけで、かなり演奏しやすくなると思います。下に実際に削っている動画を貼りつけましたのでご覧ください。