楽器を演奏する上で重要な3要素とは

以前、日本を代表するベーシストである納浩一氏のセッションワークショップに参加した際、「フレーズも確かに重要だが、それ以上に音色(サウンド)、音程(ピッチ)、リズムはフレーズよりもはるかに重要である。」との講評をされておりました。確かに私の経験上、いいプレイヤーはフレーズはシンプルだが、リズム・ピッチ・サウンドの3要素がしっかりしており、逆に3要素がおろそかであるがゆえに難しいフレーズが全然耳に入ってこない、ということはよくあります。

とくにリズムが重要な理由

上記3要素の中でも私のサックスレッスンでは特に「リズム」を優先的に教えています。
理由は、
・ピッチ、サウンドの改善にはある程度時間がかかるが、リズムは視覚化しやすく比較的会得しやすい。
・リズムを駆使することで、フレーズのボキャ貧をかなりカバーできる。
・セッションでは演奏上のコミュニケーション手段となりえる。 など
他の要素にくらべてメリットが多いからです。

リズムのヒントは大学時代のドラム基礎練

実は私は大学1回生の時はれっきとしたドラム担当でして、一日2時間ほどの基礎練習(パット練習)をほぼ毎日こなしておりました。主な練習内容にひとつに16分音符のアクセント移動というものがありました。

・メトロノームを4分音符で鳴らし、16分音符をたたく。
・4分音符1つあたり4つの16分音符があるが、そのアクセントを1つ目×4、2つ目×4・・・と移動させる

というものです。この練習にあたっては1小節を4分音符4つでとらえるとともに16分音符4つ×4でとらえる必要があり、こなしていくうちに4分音符とそれ以外の単位でリズムをとらえられるようになりました。

ポイント①最小のビートを把握する

たとえるならば、1小節という家の屋根を4本の柱(4分音符のみ)で支えるよりも、8本(8分音符×8)で支える、さらに16本(16分音符×16)で支えるようなもので、安定感がより増します。
また最小単位のビートを感じることで、4分音符で演奏していても、そこに感じるグルーブが違ってきます。

ポイント②「休符を吹く」

「リズムが苦手」という大部分の方が16分音符の裏拍を苦手にしていることだろうと思います。16分音符が4つ埋まっていたら大丈夫だが、このうち1、3個目が休符になると途端にリズムがずれてしまう。
この克服法についてアドバイスしているのは「休符を吹く」ということです。
もちろん実際に音には出しませんが、表拍の休符に意識を置く、ということです。これはシンコペーションにも言えることで、頭拍の音は実際には吹かないが、あたかも吹くように「感じる」ことです。
そうすれば結局16分音符が4つ並んでいるのと同じことになります。

練習は日常でもできる

リズムを克服する練習は実は日常生活の中でも可能です。(少し人目を気にする必要はあるかも)
これは日本を代表するドラマーである村上ポンタ秀一氏の教則ビデオ「ドラミングスピリッツ」で紹介されているのですが、歩いているときは一定のリズムなので、これを4分音符のクリックと見立て、16分音符の2つ目または4つ目のみを声に出す、というものです。一歩一歩が頭拍ということなので、休符のときに一歩、ということをブレることなく意識することが重要です。