マウスピースはどうやって選べばよい?

サックスという楽器はただでさえパーツが多く、それぞれに素材やサイズなど、一旦はまると「○○地獄」と比喩されるほど複雑はバリエーションです。その中でも影響が大きく、バリエーションも最も多いと思われる「マウスピース」について今回は書いてみたいと思います。

マウスピースの各部説明

ご存知の方も多いかと思いますが、ここでサックスマウスピースの各部名称についてご紹介したいと思います。まずはこちらの画像をご覧ください。なおここでは「ティップオープニング」「フェイシング」に絞って話をしたいと思います。(引用:https://www54.atwiki.jp/saxwiki/pages/75.html

サックスのマウスピース断面図

①ティップオープニング:「○番(セルマーだとC★ など)」といったいわゆる開きの大きさです。
②フェイシング:始点をマウスピースの先端、そこから平たくなる点を終点とした場合のその水平距離です。

ティップオープニングとフェイシングの相関関係

上の図で、①ティップオープニングを短辺、②フェイシングを長辺とした直角三角形が描けますが、この短辺と長辺のバランスがリードの鳴らしやすさに影響します。①と②の差が小さいと、斜辺が急になります。リードがこれに沿ってしならなければならず、よほどの吹き込みか、もしくはかなり加工されたやわらかいリードを使用する必要があります。
逆に①と②の差が大きければ斜辺はゆるやかになり、リードがさほどしならなくともしっかり音が鳴ります。そのため、少し固いリードも使えるなど選択肢が広がります。逆にリードの振動幅(角度)は狭く限定されるため、音量の幅も狭まるというデメリットもあります。
この①と②のバランスが自分にとって最適かどうかがサウンドに大きく関わってきます。

マウスピース選定の基準

もちろん上記以外の要素(左右対称か、テーブル:リード設置面が整備されているか など)はありますが、購入時に判断できるのは、一定の好評数値が出ている①ティップオープニング になります。その中でフェイシングの具合も判断するため、適度にしなる標準の固さのリード(Vandolen青箱2.5~3)を用いて試奏するのがよいと思います。
また、開きについては初心者ですと5番もしくは6番、上級者でも7番どまりかと思います(これ以上になると上述の三角形のバランス維持が難しいからです)各メーカーによって開きの単位が違います。こちらに目安となるサイズ表が載っています。参考にしてみてください。
http://www.egakki.com/user_data/altohiraki.php

おすすめのメーカーは?

なお、マウスピースはティップオープニングが0.1mm変わると吹奏感がかなり変わる、個体差があるアイテムです。個体差がなく、精度が高いメーカーとしては「Vandoren V16(ラバー)」や「ヤナギサワ(メタル)」がよいとされております。
また、これら以外でも専門のリフェイサーに依頼することでマウスピースを整備してもらい、かなり快適な吹奏感を得ることも最近ではポピュラーです。筆者は個体差が大きい「Beechler」というメーカーのメタルを使用しておりますが、リフェイスによりかなり快適に吹かせてもらってます。